【実施レポート】ラーニングワーケーション@鳥取市鹿野町モニターツアー(前編)
歴史ある城下町の街並み整備や空き家の活用など、まちづくりの実践事例や豊かな地域資源もつ鳥取市鹿野町を舞台に、ラーニングワーケーションのモニターツアーが開催されました。鹿野町でのラーニングワーケーションプログラムのコンセプトは、「サステナ創動力」による持続可能なまちづくり、そして自分づくり。モニターツアーには、鳥取県外に本社のある企業や団体から6名が参加しました。
今回のプログラムの特徴は、2泊3日のプログラムが2セット行われることです。鹿野町の持つ地域資源やまちづくり協議会の活動について深く知ることを目的とした前半のフェーズ1は2022年10月6日~8日、そして鹿野町での学びをもとに自らが問いを立て行動につなげることを目的とした後半のフェーズ2は、11月13日~15日に開催されました。

【鹿野町を深く知る・フェーズ1(10月6日~8日開催)】

・まずは、鹿野町の魅力を体感
初日のオリエンテーションで初顔合わせ。事前オンライン研修で面識はあるものの、リアルで会うのは初めての参加者とスタッフは、やや緊張の面持ちです。
ツアーのホストとしてサポートしていただいたのは、鹿野町で20年以上にわたり活動を続け、各方面から高い評価を得ている「いんしゅう鹿野まちづくり協議会(まち協)」の皆様。そして、地方での文化・芸術振興の新しい在り方を模索して2006年から当地で活動する、演劇集団の「鳥の劇場」の皆様です。

オリエンテーションの後は、まち協の副理事長で事務局長の小林清さんの案内で、さっそくフィールドワーク(町内探索)に出発。昼食は、町内でもっとも歴史のある建造物と言われている、熊谷家をリノベーションした「創作味処・そろそろ」でいただきました。
この建物は、約250年前の江戸中期に建てられたという記録があるもので、伊能忠敬が山陰地方で測量をする際に滞在したといいます。なお、まち協が建物の保存と利活用に一役買っています。

「創作味処・そろそろ」
・鳥の劇場で表現力ワークショップを体験
昼食後は鳥の劇場に移動し、表現力ワークショップを体験。自己表現が苦手な日本人の表現力や「自分づくり」について考えるプログラムです。
事前に「演劇をする!」と聞いて尻込みする参加者もいましたが、鳥の劇場の代表理事で芸術監督の中島諒人さんから与えられたテーマは「自分の声を探そう」というシンプルなもの。副芸術監督の齊藤頼陽さんも指導に加わっていただき、フェーズ1では演劇のごく基本的なことについて、声を出し、体を動かしながら行いました。他にも、「演劇は他者との関わりのなかで成立するもの」といった貴重な話をいただくことができ、終了後は、「普段は考えたことがないことを考えさせられた」「決して楽ではないが、楽しかった」といった率直な感想が聞かれました。
なお、フェーズ2までのインターバル期間に課題も出され、次回はもっと高度な取り組みとなる見込み。次回に期待です。

副芸術監督の齊藤頼陽さん(右)

・車座シェアで振り返り

一日の終わりには、この日に体験したことを車座になってシェア。それぞれの感想や意見、想いを発表するとともに、参加者同士の絆を深めました。
・「果樹の里山」を訪問
最終日の午後は、まち協が大阪国際大学の大学生などと協力して、耕作放棄地を果樹園・体験農園として再生させる取り組み、「果樹の里山プロジェクト」の取り組みを視察。耕作放棄地に整備された果樹園を視察しながら、この時期に実をつけているイチジクの摘み取りやクリ拾いを体験しました。
果樹園に隣接するゲストハウスとして交流の場となっている「里山ベース」は、閉鎖が決まっていた生活改善センターをまち協がリノベーションしたもの。ここで待っていたのは、里山ベースのピザ窯で焼いた、焼き立てピザのおもてなしです。ピザは、種類の異なるチーズや果樹園でとれたイチジクのジャムなどの具材を乗せたもので4種類。まち協の小林さん自らがピザを焼き、ふるまってくれました。
参加者は、熱々のピザをいただきながら「まさか、きよっさん(小林さん)が自ら焼いてくれるなんて!」と感激しきりでした。【後編につづく】

