ワーケーション体験談

顔認証システムがつなぐ地域のIoT

株式会社ウフルCTO 古城 篤さん 

羽田空港から約1時間のフライトで南紀白浜空港に到着。
到着ロビーに向かう途中、「私にオススメの観光地」が壁に映し出される。慌てて仕事を切り上げてきて、何にも調べてない。なるほど、最初に行きたいところは決まった。
とりあえず海の見える絶景を誇るホテルへ。ここへは初めてきたけど、ホテルのスタッフは私のことをよく知っている。鍵は開いているから荷物を置いて、ぺこぺこのお腹を満たしに行こう。
食事に行くのにお財布はいらない。部屋番号を覚えておく必要もない。
ここは白浜町。顔認証システムの街。

きっと、近い未来、そんな過ごし方がやってくる。
2019年の1月から「顔認証システム」の実証が始まっている白浜町。
NECの「顔認証」や「映像分析」の技術を使用している。
現在は南紀白浜空港、SHIRAHAMA KEY TERRACE HOTEL SEAMORE、フィッシャマンズワーフ(お土産・食事)、いけす円座(いけすわろうだ)/すし八咫(すしやた)(食事)、アドベンチャーワールドなどの施設で顔認証が体験できる。
実際にチェックインや決済を行うことができるので、すでにその快適さを体感している人も多い。

顔認証の体験はIoT技術をダイレクトに感じられる

実は誰でもこの顔認証を試すことができる。
事前にweb上で登録するのに5分もかからない。

南紀白浜空港に行ってみた。到着ロビーの壁際に設置されている、ディスプレイがそれだ。仰々しい設備はない。ディスプレイの上にちょこっとカメラが載っている。

恐る恐るカメラの前に出る。その瞬間、「ようこそ、〇〇様」と自分の名前が出てくる。
想像しているより反応が早い。

飛行機が到着した。もしかしたら顔認証システムに登録している人が出てくるかもしれないと待ち構えていると、画面に名前が表示された。まだ出口を出るか出ないかのところ。20mほど離れている。まさかあんなに遠いところからでも反応するとは思いもよらなかった。

その後空いたロビーで、あちらこちらの角度で試してみたが、一度覚えた情報はさらに表示が早くなるのか、あらゆる角度から映してくれる。

現在はまだ名前を表示するというところに止まっている。ここから、デジタルサイネージにおすすめの観光地を表示したり、犯罪を防止したり、迷子を探す、というような段階に少しずつ進んでいくのだろう。

顔を判断する技術はここまできているのかと未来を体験した気分になった。

人がつながり、新しい取り組みが生まれて行く

白浜町で顔認証を活用した街づくりの構想が生まれたのは2017年。

風光明媚な環境や、東京から1時間という立地条件の良さを生かし、ワーケーションを推進。さらには、こうした先駆的な働き方をされる方や夏場を中心に訪れる観光客に顔認証をコア技術に、おもてなし体験を提供しようとしている。

これを実証実験に終わらせずに、NECの「顔認証」や「映像分析」の技術を使用し、顔認証システムの構築支援をサポートしながら、生活やビジネスに定着させる取り組みを行っているのが、IoTサービスを提供する株式会社ウフルだ。

現在、白浜町には「ITビジネスオフィス」が2棟ある。
株式会社ウフルはこの白浜という土地に様々な縁があり、第2オフィスにサテライトオフィスを置いている。

特に、株式会社ウフルの主要株主であるセールスフォース、NECソリューションイノベーター株式会社が第1オフィスに入居していることには、大きな縁を感じた。

それだけではない。白浜はサイバー犯罪に関する白浜シンポジウムが古くから行われており、2019年で23回目。ITに関わる人は「白浜」をよく知っている。
地元で活躍するクオリティソフト株式会社がグローバルな活動をしていることもインパクトがあった。

ここで活動するに値する地域に、様々な人が関わり育てていたことがこの実証実験の素地になっていると言っても過言ではない。

顔認証にとどまらない、白浜町に吹き込むIoTの風

顔認証はノンストレスで過ごすための、観光客にとっては欠かせないものになっていくことは間違いない。そして観光地側にとっても、お客様に合わせたサービスを展開するための重要なツールになっていくだろう。

しかし、株式会社ウフルが考える取り組みは「観光」だけにとどまらない。

株式会社ウフルは地元採用も行い、地域の事業者との連携を重視している。
顔認証はもちろんのこと、地域に必要なIoTがなんなのか、またどうしたら導入できるのかということを考えている。

地域のITリテラシーは高くなく、またその導入に対する反発も大きい。
自分にとって「近いもの」と感じてもらうためには「体験」がもっとも重要であり、顔認証はそのためのツールとしても有効だ。

まずは顔認証を通して「驚き」「楽しい」「面白い」を感じ、ITが身近であることを地域の人に知ってもらうことからのスタート。

顔認証は決して大きな企業だけのものではなく、「地域の企業にも使えるものにしていく」と株式会社ウフルは言う。観光だけでなく、地域の様々なビジネスが顔認証やIoTを導入する未来は、きっと今から大きく舵を切り、明るい未来につながっていくだろう。

今回ご協力いただいた方

株式会社ウフルCTO 古城 篤さん 

https://uhuru.co.jp/